影の少女

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足元を見てください、影はありますか?
影はあなたの動いた通りに動きますか?
もし影が消えていたら、あなたはどうしますか?

ある町には、「影の少女」がいました。
壁に映った黒い影
影は自由に飛びまわり
影は町を巡るでしょう。

月が輝く、とある町
(わたしはここに、いるのです)
「君はどこにいるんだい?」
月の輝く時間では
少女の姿は映らない。
「きっとそこにいるのでしょう、しかし僕には見れません」
(残念、それは残念です)
「君は一体何をしてるの?」
(私は私を探してます)
「わからない、君は君ではないのかな?」
(私は影です、私の体を捜してます)

太陽が輝く、とある町
(わたしはここに、いるのです)
「君はとても黒いんだね」
太陽の照る時間では
少女の姿を見つけれる。
「たしかにそこにいるでしょう、しかし僕には触れません」
(残念、それは残念です)
「君の体は見つかった?」
(私はそれを、探してます)
「わからない、何で別れてしまったの?」
(私は知らない、私の体を捜してます)

夕暮れ照らす、とある町
(わたしはここに、いるのかな?)
「君はきっとここにいる」
夕暮れ赤い時間では
少女が一人泣いている
「君の体はもしかして、この町にはいないかも」
(辛い、それは辛いです)
「町の外へ、出てみよう」
(私はそれが、できません)
「わからない、何でできないの?」
(私は知らない、この町の外を)

月が輝く、とある町
(わたしはいったい、どうすれば)
「そんなの決まってるじゃないか」
月の輝く時間でも
少女は確かにそこにいる。
「僕と一緒に探そうよ、君の体はきっとある」
(嬉しい、けれどどうやって?)
「君が僕の影となれ」
(あなたの影は、どうなるの?)
「僕に影は、ないのです」
(私は影です、私の体を捜してます)
「僕は体です、僕の影を捜してます」
「僕と君は別人だ、だけど僕は君の体」
「あなたと私は別人よ、けれど私はあなたの影」

朝日が昇る、とある町
(わたしの体を捜しましょう)
「僕の影も捜しましょう」
朝日が照らす、とある町
少女と二人で歩き出そう
「見つかるまでは、一緒だね」
(嬉しい、それは嬉しいです)
「それまでは僕の真似をして」
(それまではあなたの、真似をします)
「それまでは君の体だよ」
(それまでは私の体です)

体と影は違うけど、2人で一つのその姿
足りない自分を捜し求めて
それは自由に飛びまわり
それは町を巡るでしょう。

足元を見てください、影はありますか?
影はあなたの動いた通りに動きますか?
もし影が消えていたら、探しに行って下さい。
きっと影もあなたを探しているでしょう。
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